フランス人は英語が話せるのに話さない。
こんな話をよく聞きますよね?
理由はプライドが高いからだなんて言われていますが、このことにはそもそも仏語は英語の上位言語だったという事が関係していると私は思っています。
実際に昔のイギリスでは上流階級は仏語を話し、下流階級が英語を話すという時代があったのです。
今回はこの英語と仏語の深い関係について書いていきたいと思います。
フランスのイギリス侵略
450年ごろにドイツからの移民が作り出したイギリスという国に、1066年に大事件が起きます。
それがフランスのイギリス侵略です。
今のフランス北部にあたる当時のノルマンディー公国が、軍を引き連れてイギリスに攻め込んできたのです。
イギリス側も貴族を中心に反抗し続けました。しかし、5年後の1071年についにイギリスはフランスに支配されてしまいます。
上流=仏語、下流=英語という2重言語時代
当時イギリスは貴族を中心に反抗を行い、それも5年という長期にわたったため、平定したころにはイギリス貴族はほとんどいなくなってしまっていました。
代わりにイギリスの貴族となったのが、フランス語を話すノルマン人です。
そして、貴族が変わるとついてくる騎士も変わります。もっと言えば商人も変わります。
つまり、フランスが支配したイギリスは、上流階級は仏語を話し、農民などの下流階級は英語を話すという2重言語時代に突入していくのです。
仏語が英語に与えた影響
上流階級と下流階級の言語が違うとなると、困ることになるのが主従関係で使う言語です。
そこで、主人に仕える農民は、主人の使うフランス語を少しずつ覚えていきます。
このことで、英語の中にフランス語が混ざってくるようになり、例えば主従関係で使われていたSir(ご主人様)、Madam(奥様)という言葉はフランス語からきています。
- 統治系:Government(政治)Tax(税金)
- 軍事系:Army(軍隊)Peace(平和)
- ファッション系:Apparel(衣料)Button(ボタン)
このように、統治や軍隊関係の言葉、また、当時からフランスはファッションに強かったため、アパレル関係の言葉にもフランス語源の英語が多くみられます。
仏語と英語の主従関係を表すこんな単語
ここで面白いのが、このときの上流=仏語、下流=英語という関係が、現在でも色濃く残っている単語があるということです。
例えば、Chairという言葉は椅子という意味ですよね?
Chairと聞くと、背もたれがあって、ひじ掛けがあってという椅子を想像すると思います。
一方で、同じ椅子を表す単語にStoolがあります。
でも、Stoolと言われると背もたれもひじ掛けも無い座面だけの椅子という意味になりますね。
実はこのChairはフランス語源、Stoolはもともとあった英語です。
つまり、同じ意味を表す言葉でも、上等な物にはフランス語源が使われ、ランクの落ちるものにはもともとの英語が使われているケースがあるのです。
- 【仏】Chamber(部屋)【英】Room(簡素な部屋)
- 【仏】Hotel(ホテル)【英】Hostel(安宿)
- 【仏】Dinner(夕食)【英】Breakfast(朝食)
食事の中でも豪華な料理が出る夕食は仏語源のDinnerが使われ、比較的簡素な朝食はBreakfastという英語源が使われているところが印象的です。
フランス人が英語を話さない理由【英語と仏語の深い関係】
このように、イギリスでは上流階級が仏語を話し、下流階級が英語を話すという時代がありました。
そしてその頃の影響は、上等な言葉に仏語源が使われ、ランクの低いものに英語源が使われるという形で今でも残っています。
こういった、「自分たちは英語の国を支配していたことがあり、仏語は英語の上位として使われている」という事実が、フランス人がプライドが高く英語を話さないということに関係しているのではないかと私は思います。
ところで、ではどうしてここから仏語ではなく英語が国際語になっていったのか?
次回記事ではそのあたりを書いてみたいと思います。
参考文献
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